後藤さんすごい

後藤さんも尊敬します

 すごくプライベートなお話です。新しいバイト先に後藤さん(仮名)という方がいるのですが,その人のコミュニケーション力に感銘を受けたのでちょっとだけまとめておく。

 

 後藤さんのすごいところ①:改善してほしいことをそれとなく伝える

 私は2つのことについて指摘を受けた。1つ,バックルームで食べてるあたりめの蓋を,匂いが部屋に充満しないように占めてほしいということ。もう1つは,ネガティブなことばかり言わないでほしいということ。

 

 1つ目について仔細を記す。

 「あらやしきくん,バックルームがイカくさい(笑)」

 「え,そうですか?」

 「多分店長がもってきたあたりめのせいやねんか(笑)蓋がしまってなくて,匂いが充満してしまうねん。」

 「僕,結構食べてますよ(笑)」

 「そうなんや!」

 「食べないんですか?お酒に合いますよ」

 「食べへんねえ。お酒もあんまり飲まないから」

 ~~以下,しばらくお酒の話が続く~~

 「まあ,イカの匂いがじゅうまんしてるから・・・」

 「じゃあきちんと閉めるようにしときますね(笑)」

 「うん(笑)そうそう,他の社員さんが『あらやしきくんがイカ食べてた(笑)』って言ってたから」

 

 と,こんな感じの会話をした。最後の一言で分かる通り,私あらやしきがイカを食べていたということを知っていたならば,「イカを食べたあとはきちんと蓋を占めるように!」の一言で終わらせられた。それなのに,色々な雑談やラウンドアバウトな言い方を駆使して,私に不快感を抱かせずに要望を伝えていた。

 

 また,2つ目のネガティブなことについて。

 「昨日,別の店舗にヘルプで行ったんやけど,結構店が遠くて足が痛い(笑)」

 「行くまでに疲れたら元も子もないですね(笑)」

 「そうー。バスも30分に1本くらいだから,遅れたら遅刻確定(笑)」

 「大変ですね(笑)」

 「あと,そこの店長が本当に愚痴ばかりで,ちょっとこっちがポジティブにしようと思ってもすぐにネガティブの方向にもっていくねん。それがつらかった(笑)」

 「ネガティブなことばかり言う人と付き合うのって疲れますようね(笑)共感できる愚痴ならまだいいんですけど・・・」

 

 とまあ,こんな感じのやり取りをもう少しだけして終わった。これに限って言うと,後藤さんは私に何等かの改善をしてほしいという意図で話したわけではないかもしれない。でも,そうだとしたら,いや,そうでなくても,話し相手に対して何らかのぽじてぃな理想像を伝えることができているのは,すごいことだと思う。

 私であれば部下に何かを伝えたいときは,結論ファーストかつ簡潔に話して終わりのような気がする。しかし,それだけでは相手は不快に感じたり,下手をすると全くいうことを聞かないで終わってしまうかもしれない。今まで,そんなケースが多かったように思える。特に家族に対しては。

 

 「Think Straight, Talk Straight」

率直に考え,話す。これはこれでとても大切なことである。むしろ,何事もこれが基本である。しかし,コミュニケーションとなると話は違ってくる。

 人と友好的な関係を築きたいとき,とある話題について話して盛り上がるというようなプラスのコミュニケーションをするときはあまり気にしないが,同棲相手やチームメンバーのような比較的同じ時を長く過ごすことになる人に対しては,「ここを直してほしい」というようなマイナスのコミュニケーションをしなければならないときがある。

 そんなときは,率直に考え,話すというより,率直に考え,冗長に話すというやり方が適しているようだ。

 

 「人に意見をして疵(きず)を直すと云ふは大切なる事にして、然も大慈悲にして、御奉公の第一にて候。意見の仕様、大いに骨を折ることなり。およそ人の上の善悪を見出すは易き事なり。それを意見するもまた易き事なり。

 大かたは、人の好かぬ云ひにくき事を云ふが親切のやうに思ひ、それを請けねば、力に及ばざる事と云ふなり。何の益(やく)にも立たず。ただ徒らに、人に恥をかかせ、悪口すると同じ事なり。我が胸はらしに云ふまでなり。

 そもそも意見と云ふは、先づその人の請け容るるか、請け容れぬかの気をよく見分け、入魂(じつこん)になり、此方の言葉を平素信用せらるる様に仕なし候てより、さて次第に好きの道などより引き入れ、云ひ様種々に工夫し、時節を考へ、或は文通、或は雑談の末などの折に、我が身の上の悪事を申出し、云はずして思ひ当る様にか、又は、先づよき処を褒め立て、気を引き立つ工夫を砕き、渇く時水を飲む様に請合せて、疵を直すが意見なり。

 されば殊の外仕にくきものなり。年来の曲(くせ)なれば、大体にて直らず。我が身にも覚えあり。諸朋輩兼々入魂をし、曲を直し、一味同心に主君の御用に立つ所なれば御奉公大慈悲なり。然るに、恥をあたへては何しに直り申すべきや。」

 

 以上は葉隠の一節である。この言葉は,頭では理解できていたが今回の後藤さんの振舞のような具体的な方法については知らなかった。

 よい人に出会えた。もっと見習おう。

 

何も考えず,そのままを生きる

 10月が始まって以来,今日まで私は夕食を誰かと一緒に取ってきた。最初の3日間は,東京から遊びに来てくれたこと,4日目はアプリで出会った人,5日目は地元から来た人とだ。

 相席の場の酒は非常に良い。緊急事態宣言が明けてから,夕食と酒を誰かと共に楽しむことの気持ちよさを痛感せざるを得ない。私はどうやら,人と会うことでエネルギーをもらえるタイプらしい。

 

 満足感。気が合う人との晩餐,生活はどれほど幸せなことだろうか。私は早く結婚がしたいし,誰かと一緒に旅行でも行きたい。

 

 2,3週間前は「何かしなきゃ。みんなから注目を浴びるために何かをしなきゃ」と焦っていた。辛かった。だからこそ,店長にちょっと当たってしまったこともあった。

 私は元来,何も考えないタイプなのかもしれない。あるいは,問題意識が強く,問題を解決するアイディアとそこそこの実行力は持ち合わせているだけで,根本は多分何もしない,のんびりと行きたい人間なのだろう。

 だって,今日はかわいい子どもの動画を見てなごんでいたし。

 仕事だって,そういう風にのんびり構えている方が上手くいく。

あー。

 

 私はきっと人間関係が軸になっている。それさえ良ければ後は何でも上手くいく。夕食ではなく,お風呂に先に入ったらそのあとの夕食や片付けがすべてうまくいくように。

 

 今は別に崇高な目標もないが,とりあえずこれでいいのかな。