ベランダの黄昏

連日の出張によって、仕事によって埋め尽くされている私の身体の中を一旦デトックスすべく、という潜在的な意識があるからか、私はこの土日で、仕事から全く離れていた。

 

コンテンツに耽り、掃除はせず、食事は貪り、欲望のままに眠りに耽る。

 

三島由紀夫の春の雪を読み、以前よりも格段に風景描写を頭の中で再現でき、また人物の想いに馳せることもできていた。

 

私は哲学的でセンチな気分になっていた。

ただそれだけだが、ただそれだけの生活がなんら幸福であるといえるかどうかは微妙であった。

春の雪に出てくる松枝侯爵の生き方を見て、私の人生はなんて薄いものだろうと少し悲しくなった。